高配当株に投資する魅力とリスク!賢い銘柄選びのポイントを解説
株式投資の魅力のひとつに、配当金が受け取れるという点が挙げられます。
せっかく配当狙いで投資するのであれば、多くの配当金がもらえる高配当株を狙いたいところです。
この記事では、高配当株のメリット・デメリットや選ぶ際のポイントについて分かりやすく解説していきます。
定番の日本株高配当銘柄も併せて紹介しますので、投資する際の参考にしてください
高配当株とは
配当利回りの高い株式
一般的に高配当株は「配当利回りが高い株式」のことを言います。
「配当利回り」は「一株あたりの配当金 ÷ 株価」で表され、投資金額に対して受け取れる配当金の割合を確認することができます。
東証1部に上場している企業の平均的な配当利回りはおよそ2%前後であるため、一般的には3%以上の利回りで高配当株と呼ばれることが多くなっています。
株価の値動きはゆるやか
基本的に、株式投資は「配当金による利益(インカムゲイン)」と「株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)」を狙っていくことになりますが、高配当株銘柄は株価の値動きがゆるやかであることが多いです。
大きな値上がり(値動き)はないですが、じっくりと配当を受け取りながら利益を上げていくというのが高配当株に投資する際の特徴です。
よって、株価が上昇による利益を狙うには適していません。
もちろん、まれに株価が急上昇する高配当株もあります。
株価が上昇した場合は、配当利回りの計算式が「一株あたりの配当金 ÷ 株価」であることから、配当利回りが低下することを把握しておきましょう。
高配当株に投資するメリット
配当(インカムゲイン)が得られる
株式の保有中に得られる配当(インカムゲイン)が、高配当株に投資する最大のメリットです。
高配当株に投資する人のほとんどは、このインカムゲインが得られることを目的にしていることでしょう。
インカムゲインが得られることによるメリットは多数あります。例えば、月々の収入に配当金がプラスされます。
生活費の一部を配当金で支払うことができれば毎月のお金の負担を軽減することが可能です。
また、配当金を再投資することで元本が膨らんでいきます。元本を大きくし、得られる配当金が増えていけば、毎月出ていくお金より配当金で得られるお金の方が大きくなる可能性もあります。
このように、労働以外の収入(不労所得)で自分を楽させることができる点が、高配当株の最大の魅力といえます。
株価変動に比べると配当金は安定している
株式投資の難しい点は、株価が常に変動を続けていて未来の株価を予測することが困難である点です。
購入した銘柄の株価が上下するため、取引のタイミングが見極めにくく、将来の収益も予想しづらくなっています。
しかし、配当金については配当が減らされる「減配」のリスクは当然あるものの、ある程度安定していることがメリットです。
そのため、収益が安定し将来の利益を推測しやすくなります。
株価の上昇を狙う投資スタイルに比べて、安定して利益を狙っていけることが高配当株投資の大きなメリットです。
暴落時の心理的安定につながる
暴落時にある程度の安心感を持って取引できる点が、高配当株投資のメリットです。
株価が大きく下落すると「株価はいつ戻るのか」「このままもっと下がるのでは?」という恐怖を感じるケースが多いです。
一方で配当金については、株価が下落していて先が見えない中でも一定の配当(現金収入)があるという点で安心感が得られます。
もちろん減配の可能性はありますが、それでも株価の下落時に手元に現金が入ってくるのは非常に大きな安心感となります。
また、暴落時には高配当株を買い増しするチャンスと捉える人も多くいます。すでに紹介したように、配当利回りは「一株あたりの配当金÷株価」なので、株価が下落すると配当利回りは高くなります。
暴落により配当利回りが高くなった銘柄を購入するという方法も、高配当株投資ならではのものといえるでしょう。
高配当株に投資するデメリット・リスク
減配リスクがつきまとう
高配当株投資には、配当が減らされる「減配」や配当が無くなる「無配」のリスクがついてまわることになります。
配当金は企業の業績によって定められているため、業績が悪化して配当が維持できなくなるケースは実際にあります。
また、投資家の多くは配当金目当てで高配当株を保有しています。
そのため、減配が決定した途端に手放す投資家が増え、株価が大きく下落してしまうこともあります。
現在出されている配当金が、今後もキープされるわけではないことを予め把握しておきましょう。
配当金にも税金がかかる
株式は売却によって得られる利益のほかに、配当金に対しても税金がかかります。
そのため、配当金を確認する際には、税引き後の価格をチェックするようにしましょう。
配当金に対する税率は20.315%となっており、支払いの際に源泉徴収されます。
受け取った時点で税金はすでに支払っていることになり、原則として確定申告は不要です。
確定申告をする場合には、総合課税によって配偶者控除の適用を受けたり、申告分離課税によって株式等の譲渡損失と損益通算をすることが可能です。
配当金の税制についても、しっかり把握してから取引を行いましょう。
売却益(キャピタルゲイン)を狙いづらい
高配当株の株価値動きはゆるやかであるため、株価の値上がりによる売却益「キャピタルゲイン」を狙っていくことは難しいです。
景気が良くなり他の銘柄の株価が上昇している中で、高配当株の株価はいまいち上がらないというケースもあります。
配当金は出していないものの、株価が大きく上昇して利益が狙える銘柄は多くあります。高配当銘柄よりもトータルリターンが大きくなる銘柄もあるでしょう。
キャピタルゲインを狙える銘柄とインカムゲイン中心の高配当株をバランス良く保有することで、高い収益を狙っていくことができるようになります。
高配当株銘柄を選ぶ際のポイント
お得に配当が受け取れる高配当株ですが、選ぶ際にはいくつか注意点があります。
ひとつずつ紹介していきます。
過去の配当を確認する
高配当株を選ぶ際は、現在の配当だけでなく過去の配当を確認しておくことが重要です。
配当金額は企業が定めているため、業績などによって左右されます。現時点での配当金が高くても、「これまでの配当が安定していない(配当金額が多い時・少ない時がある)銘柄」という可能性があります。
高い配当を継続して行えているかを事前に確認しておきましょう。
また、記念配当にも注意が必要です。会社の創業を記念して一時的に配当が増えたことにより、配当利回りが瞬間的に高くなることがあります。
通常の配当が安定しているかどうかをチェックしておきましょう。
中長期的に利回りが期待できるか確認する
高配当株の株価値動きは比較的ゆるやかなものが多いです。そのため、一般的には短期的な取引ではなく中長期での保有が前提となります。
中長期の保有で重要になるのは、企業が今後安定して配当が出せるのかを確認しておくことです。
まずは企業の「配当性向」を確認しておくと良いでしょう。配当性向とは、企業が事業で得た利益のうち、どれくらい株主に配当として還元しているかを確認できる指標です。
配当性向が高いほど株主に対する還元率が高いということになりますが、あまり高過ぎると無理に配当を出しているという可能性もあります。
一般的には、配当性向は30〜40%前後が望ましいと言われています。
財務状況や決算情報をしっかり見て、中長期的な利回りが期待できるのかを確認しておきましょう。
日本のおすすめ高配当株5選
日本株で人気のある高配当株を紹介します。
ここで紹介する銘柄はごく一部ですが、ぜひ参考にしてみてください。
1. JT(2914)
日本の高配当株の代表格ともいえるのが「JT(2914)」です。国内外のたばこ事業だけでなく、医薬・加工食品の事業も展開しています。
配当利回りは6〜7%前後を推移しており、非常に高い水準となっています。
しかし、2021年12月期に上場以来初めての減配を発表しており、今後の配当方針には注意が必要です。
また、100株で2,500円相当の自社グループ食品セットがもらえる株主優待も魅力的です。
2. ソフトバンク(9434)
通信キャリア大手の「ソフトバンク(9434)」も高配当株として有名な銘柄です。
通信企業は継続的に収益をあげられる上に参入障壁が高いため、高い配当が出せる銘柄となっています。
ソフトバンクの配当利回りは6%前後で、高い利回りをキープしています。
80%を超える配当性向となっており、株主への還元率が高いことも特徴となっています。
2021年7月時点では株主優待が実施されていないことと、配当性向がやや高めであることに注意しておきましょう。
なお、「ソフトバンクグループ(9984)」とは別銘柄になりますのでご注意ください。
3. オリックス(8591)
リースやレンタカー、金融業など幅広い事業を展開している「オリックス(8591)」も、配当が高い銘柄のひとつです。
安定して配当を出し続けており、今後の配当金にも期待できる高配当株となっています。
オリックスの配当利回りは約4%で安定しています。減配せずに配当をキープ、もしくは増配を続けていることからも株主への還元意識の高い企業であるといえます。
株主優待も「ふるさと優待」と「株主カード」があり、とてもお得です。
配当と優待の両方を狙えるため、チェックしておきたい銘柄といえるでしょう。
4. NTT(9432)
日本最大手の通信企業である「NTT(9432)」も人気の高配当株です。営業利益も高い水準でキープしており、安定した収益をあげている企業です。
NTTの配当利回りは4%前後で安定しており、高い配当を受け取ることができます。
参入障壁が高い事業を展開しているため利益率が高く、今後の配当にも期待できる企業です。
さらにNTTは、保有期間に応じてdポイントが付与される株主優待も用意しています。
配当も優待もお得に受け取れる銘柄です。
5. 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
三大金融グループの一角を担う「三井住友フィナンシャルグループ(8316)」は、高配当株として有名な銘柄です。好調な業績に基づいて増配が予想されています。
三井住友フィナンシャルグループの配当利回りは約5%となっており、高い水準の配当を受け取ることができます。
これまで配当が「横ばい」もしくは「増配」を続けているため、今後の配当にも期待できます。
まとめ:高配当株は中長期の目線で保有しましょう
高配当株は、高い配当を受け取れる一方で株価の値上がりはゆるやかであることが多いため、中長期で保有することがおすすめです。
毎月の給料にプラスで安定した収入を得られるという側面では、非常に魅力的な投資方法です。
一方で配当が減らされる「減配」のリスクや、株価の上昇による「キャピタルゲイン」を狙いづらいというデメリットもあります。
高配当銘柄だけに集中投資するのではなく、バランスの良い投資手法を選択していきましょう。
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